近年、働き方の多様化やパンデミックの影響により、オンラインでの商談、特にZoomを活用した商談が急速に普及しました。
移動時間やコストの削減、遠方の顧客とも容易に接点を持てるなど多くのメリットがある一方、「対面に比べて相手の反応が分かりづらい」「関係構築が難しい」「思ったように成果が出ない」といった悩みを抱える営業担当者も少なくありません。
しかし、オンライン商談は決して対面商談の「劣化版」ではありません。
むしろ、特性を理解し、適切な準備と工夫を凝らすことで、対面以上の成果を上げることも可能です。
本記事では、Zoom商談における受注率を向上させるために、「準備段階」「商談中」「商談後」 の3つのフェーズに分けて、具体的な注意点や実践的なテクニックを徹底的に解説します。
これを読めば、あなたのZoom商談は確実にレベルアップし、成果につながるはずです。
目次
フェーズ1:【準備段階】Zoom商談の成否は「始まる前」に決まっている
オンライン商談、特にZoom商談の成功は、事前の準備が9割と言っても過言ではありません。
油断せず、以下の点を徹底しましょう。
1. 盤石な通信環境と機材の整備
- 通信環境の安定化: 何よりもまず、安定したインターネット接続が必要です。不安定な接続は、音声の途切れや映像のフリーズを引き起こし、商談の流れを阻害する最大の要因となります。可能であれば有線LAN接続を推奨します。Wi-Fiの場合は、ルーターの近くで接続する、他のデバイスでの大容量通信を避けるなどの配慮をしましょう。事前にスピードテスト (Speedtest.net など) で回線速度を確認しておくことも有効です。
- カメラの品質とアングル: PC内蔵カメラでも問題ない場合もありますが、より鮮明な映像を提供できる外付けWebカメラの導入を検討しましょう。相手に与える印象が格段に向上します。カメラの位置は、目線と同じ高さに設置するのが基本です。下からのアングルは偉そうに、上からのアングルは頼りなく見える可能性があります。
- クリアな音声のためのマイク: PC内蔵マイクは環境音を拾いやすい場合があります。ヘッドセットや指向性の高い外付けマイクを使用することで、クリアな音声を相手に届け、聞き取りやすさが向上します。生活音が入らないよう、静かな環境を確保することも重要です。
- 明るい表情を作る照明: 顔が暗く映ると、不健康に見えたり、表情が読み取りにくくなったりします。自然光が最適ですが、難しい場合はリングライトなどを活用し、顔全体が明るく映るように調整しましょう。逆光にならないよう注意が必要です。
2. 相手に好印象を与える環境設定
- 背景への配慮: 背景はあなたのプロフェッショナリズムを反映します。生活感のあるものが映り込まないよう、壁や本棚などを背景にするのが無難です。バーチャル背景も有効ですが、不自然にならないよう、ビジネスシーンに適したものを選びましょう。背景が頻繁にちらつくと集中を妨げるため、PCのスペックや背景との相性も確認が必要です。
- 整理整頓された空間: カメラに映る範囲だけでなく、その周辺も整理整頓しておきましょう。不意にカメラのアングルが変わった際にも、散らかった様子が見えないように配慮することが大切です。
3. Zoom機能の習熟と事前テスト
- 基本機能のマスター: 画面共有、マイクのミュート/ミュート解除、ビデオのオン/オフ、チャット、レコーディングなどの基本機能はスムーズに操作できるようにしておきましょう。特に画面共有は、特定のウィンドウだけを共有するなど、見せたい情報だけを的確に表示する練習をしておくと安心です。
- 便利な機能の活用検討: ブレイクアウトルーム(参加者を小グループに分ける)、投票機能、ホワイトボード機能などを活用することで、一方的な説明にならず、参加者を巻き込んだインタラクティブな商談が可能になります。必要に応じてこれらの機能も試しておきましょう。
- 接続テストの実施: 可能であれば、同僚などと事前に接続テストを行い、音声や映像のチェック、画面共有のスムーズさなどを確認しておきましょう。これにより、本番での機材トラブルのリスクを最小限に抑えられます。
4. 徹底した顧客リサーチと資料準備
- 顧客理解の深化: 対面以上に相手の情報が限られるオンライン商談では、事前のリサーチが極めて重要です。企業のウェブサイト、ニュースリリース、SNS、担当者の経歴などを徹底的に調べ、相手の課題やニーズ、関心事を仮説立てしておきましょう。
- 分かりやすい資料作成: オンラインでは、相手の視線が資料に集中しがちです。そのため、図やグラフを多用し、文字は大きく簡潔に、一目で内容が理解できるような資料作成を心がけましょう。画面共有することを前提に、構成やデザインを最適化します。
- アジェンダの事前共有: 商談の目的、時間配分、内容を明記したアジェンダ(議題)を作成し、事前に相手に送付しておきましょう。これにより、相手も心の準備ができ、スムーズな進行が期待できます。
5. プロフェッショナルな身だしなみ
- 対面同様の意識で: 上半身しか映らないからといって油断は禁物です。対面での商談と同様に、清潔感のある服装を心がけましょう。派手すぎる色や柄は避け、顔色が明るく見えるような色を選ぶのがおすすめです。髪型や髭なども整え、プロフェッショナルな印象を与えましょう。
フェーズ2:【商談中】エンゲージメントを高め、信頼を勝ち取る
いよいよ商談本番です。オンライン特有のコミュニケーションの壁を乗り越え、受注につなげるためのポイントを見ていきましょう。
1. 時間厳守とスムーズな開始
- 5分前入室の徹底: 指定された時間の5分前にはZoomミーティングルームに入室し、音声・映像を最終チェックしましょう。相手を待たせないのはもちろん、自身の心の準備のためにも重要です。
- 丁寧な挨拶とアイスブレイク: まずは笑顔で丁寧な挨拶を。簡単な自己紹介の後、いきなり本題に入るのではなく、短いアイスブレイクで場の空気を和ませましょう。「本日はお時間をいただきありがとうございます」「そちらの天気はいかがですか?」など、相手への配慮を示す言葉が有効です。ただし、長くなりすぎないよう注意が必要です。
- アジェンダの再確認: 事前に共有したアジェンダを画面共有などで提示し、本日の目的と流れを改めて確認します。これにより、双方の認識を合わせ、効率的な議論を促します。
オーディオチェックは意外と大事、きちんと設定出来ていないと悪い空気で商談に突入してしまいます。
2. 意識的なコミュニケーションの実践
- カメラ目線を意識する: 相手の目を見て話す代わりに、カメラのレンズを見て話すことを意識しましょう。これにより、相手は「自分に話しかけられている」と感じ、アイコンタクトに近い効果が得られます。画面上の相手の顔を見がちですが、時折カメラに視線を送ることが重要です。
- 明確な発話と適切な間: オンラインでは音声が不明瞭になりがちです。いつもより少しゆっくり、はっきりと話すことを心がけましょう。また、相手の発言が終わってから一呼吸置いて話し始めるなど、適切な「間」を取ることで、発言の衝突を防ぎ、落ち着いた印象を与えます。
- 豊かな表情とジェスチャー: 非言語情報が伝わりにくいオンラインでは、意識的に表情を豊かにし、少し大きめのジェスチャーを交えることが有効です。頷きや笑顔をはっきりと示すことで、共感や理解を伝えやすくなります。ただし、過剰にならないよう注意が必要です。
- 名前を呼んで語りかける: 相手の名前を適度に呼びかけながら話すことで、「あなたに話しています」というメッセージが伝わり、親近感や集中力を高める効果があります。
小技としては「モニターが複数あるのでカメラ目線がじゃない時がありますがご容赦ください。」と先に言っておくと、目線が外れててもマイナスイメージになることを防げるよ。
3. 相手のエンゲージメントを高める工夫
- 積極的な傾聴と相槌: 相手が話しているときは、カメラを見て真剣に耳を傾け、「はい」「なるほど」といった相槌を意識的に入れましょう。視覚的な反応が少ない分、聴覚的な反応で「聞いています」というサインを送ることが重要です。
- 質問を投げかける: 一方的な説明にならないよう、適度に質問を投げかけ、相手の意見や反応を引き出しましょう。「~について、〇〇様はどのようにお考えですか?」「現状、特に課題に感じていらっしゃる点はどこでしょうか?」など、オープンな質問も有効です。
- Zoom機能の活用:
- 画面共有: 資料を見せるだけでなく、デモンストレーションを行ったり、ホワイトボード機能で図解したりすることで、理解を深めます。共有する際は、デスクトップ全体ではなく、必要なウィンドウのみを共有し、個人情報や関係のない情報が映らないよう注意しましょう。
- チャット: 参考URLの共有、専門用語の補足、質問の受付などに活用できます。口頭での説明を補完する役割を果たします。
- リアクション機能: 簡単な同意や反応を示す際に、拍手や「いいね」などのリアクション機能を活用すると、場が和んだり、意思表示がしやすくなったりします。
- 沈黙を恐れない: オンラインでは沈黙が気まずく感じがちですが、相手が考えている時間や、次に何を話そうか整理している時間かもしれません。焦って話し続けず、時には意図的に沈黙を使い、相手の発言を促すことも有効です。
画面共有が上手だと商談がスムーズにいきます。
4. 効果的なプレゼンテーションと進行
- 結論から話す (PREP法): Point(結論)、Reason(理由)、Example(具体例)、Point(結論の再強調)の順で話すことを意識すると、オンラインでも論理的で分かりやすい説明が可能です。
- 視覚情報の有効活用: 資料だけでなく、製品のデモンストレーションや、ホワイトボード機能を使った図解など、視覚的に訴える要素を積極的に取り入れましょう。
- 時間管理の徹底: アジェンダに沿って時間配分を意識し、議論が脱線しそうになったら軌道修正を図ります。終了予定時刻が近づいたら、まとめとネクストステップの確認に移るよう、時間管理を徹底しましょう。
5. クロージングとネクストステップの確認
- 質疑応答と懸念点の解消: 商談の最後に質疑応答の時間を設け、相手の疑問や懸念点を丁寧に解消します。即答できない質問には、いつまでに回答するかを明確に伝えましょう。
- 決定事項とネクストステップの明確化: 商談で決まったこと、次に誰が何をするのか(宿題)、次回の打ち合わせ日程などを具体的に確認し、双方で合意します。口頭だけでなく、チャットに記録したり、画面共有でメモを見せたりすると確実です。
- 感謝とポジティブな締めくくり: 最後にあらためて感謝の意を伝え、前向きな言葉で締めくくりましょう。「本日は貴重なお話をありがとうございました。〇〇の件、進展を楽しみにしております。」といった言葉で、良い印象を残します。
この辺はzoom商談だけでなく対面商談でも大事なことですね。
フェーズ3:【商談後】次のアクションへ繋げ、関係を深化させる
商談が終わっても、まだ終わりではありません。迅速かつ丁寧なフォローアップが、受注率を大きく左右します。
1. 迅速なお礼メールの送付
- 当日中、遅くとも24時間以内に: 商談後、記憶が新しいうちに、感謝の気持ちを伝えるお礼メールを送りましょう。スピード感が重要です。
- 内容の具体性: 定型文だけでなく、商談で特に印象に残った点や、相手の発言に触れるなど、パーソナライズされた内容を加えると、より心が伝わります。
- 決定事項とネクストステップの再確認: メール本文に、商談で合意した決定事項、担当者、期日などのネクストステップを明記します。これにより、認識の齟齬を防ぎ、次のアクションを確実にします。
- 資料の添付: 商談中に使用した資料や、追加で共有を約束した資料があれば、忘れずに添付しましょう。
2. レコーディングやメモの活用 (必要な場合)
- 振り返りと情報共有: 事前に相手の許可を得てレコーディングした場合、内容を振り返り、聞き逃した点や重要な発言を確認します。議事録を作成し、関係者間で共有することで、認識統一や次の戦略立案に役立ちます。
- 顧客理解の深化: 相手の話し方、表情、反応などを改めて確認することで、より深い顧客理解につながるヒントが得られることもあります。
AIを使えば簡単に議事録が作成できますよ。
3. 継続的なフォローアップ
- 約束の履行: 商談中に約束した資料の提出や回答などは、期限内に必ず実行します。
- 適切なタイミングでの連絡: ネクストステップで定められた期日や、相手の検討状況に合わせて、適切なタイミングでフォローアップの連絡を入れます。しつこくなりすぎないよう、相手の状況を考慮することが重要です。
- 価値ある情報提供: 単なる進捗確認だけでなく、相手にとって有益な情報(関連ニュース、導入事例、セミナー案内など)を提供することで、関係性を維持・強化し、信頼を得ることができます。
進捗確認だけの連絡は三流、連絡のたびに相手のためになることを届けることが出来ると感謝される営業マンになれます。
まとめ:Zoom商談を制する者は、オンライン時代の営業を制す
Zoom商談は、単なる対面商談の代替ではありません。
その特性を理解し、適切な準備、意識的なコミュニケーション、そして丁寧なフォローアップを行うことで、むしろ対面以上の効率と成果を生み出す可能性を秘めています。
今回ご紹介した、「準備段階」「商談中」「商談後」 の各フェーズにおける注意点やテクニックは、どれも実践的ですぐに取り組めるものばかりです。
- 準備段階: 環境と機材を整え、相手を理解し、万全の体制を築く。
- 商談中: 意識的なコミュニケーションでエンゲージメントを高め、信頼関係を構築する。
- 商談後: 迅速かつ丁寧なフォローアップで、次のアクションへと確実に繋げる。
これらのポイントを一つひとつ確実に実践していくことで、あなたのZoom商談の質は飛躍的に向上し、それは必ずや受注率アップという形で実を結ぶはずです。
オンラインでのコミュニケーションが主流となった今、Zoom商談のスキルは、すべての営業担当者にとって必須の能力です
。ぜひ本記事の内容を参考に、日々の商談を改善し、より大きな成果を目指してください。あなたの成功を応援しています!